兵庫県産木材を使った木組み

この章では、私達が兵庫県産木材を使う理由と、
なぜ、わざわざ伝える必要があるのかという背景の2点を伝えたいと思います。

 

その木はどこから来てますか?

みなさん、知っていますか?
わからない方へ、知る方法は、建築会社さんから受け取る仕様書や御見積書、または窓口のスタッフさんから聞く、などがあると思います。

なんて書いてあるんでしょうか?
日本で採れた木でしょうか、海外で採れた木でしょうか。

少し興味が湧いてきましたか?

わくわくしなかったら、別の章を見たほうが良いかもです😁

 

 

山の産業が衰退する

兵庫県は森林面積がめちゃくちゃ多い県なんです。
意外ですか?

逆に林道が整備されている長さはワーストなんですよ。
森林はあるけど、活用されていない県なんです。

山の産業:林業は盛んな県だと思いますか?
担い手も少なくなり、本当に危険です。

林業で採れた丸太(原木)を加工する製材業は盛んな県だと思いますか?
儲からない業種で今も、町からも製材所は無くなっています。神戸市では製材台車という加工機を置いている製材工場は1社だけです。

宮下木材がある加東市でも製材所はどんどん減ってしまいました。丸太が置いてある場所って町の風景の一つだったと思います。町の風景が変わっちゃいますよね。

どうしてこんなことになっちゃったんでしょうか。

 

 

安い木をさがせ!

未来のお施主様へ

これから建ててもらうお家、安ければ安いほど嬉しくないですか?

それは当たり前のことだと思います。

逆に、依頼している建築会社(※ハウスメーカーや設計事務所、工務店さん、リフォーム会社さん)が、なんでもええんや、お施主様に価格を下げて提案するんや!なんでもいいから安い木を探せ!

そこのスタッフや職人が、お客さんの為になるから、ここの木は変更して安くなりませんか?と納品元に依頼する。

これって嬉しいですか?
これ、実際に起きていることです。価格を下げる事、もちろん企業努力として正しいことです。

ですが、みなさんのお家に使われる木のこと、ご存知でしょうか?

最初の質問をもう一度訊ねます。
『その木はどこから来てますか?』

ちなみに、建築業界はずっとこれです。
安い木を入れる納品元が選ばれ、そうで無いところは売上を下げて、計画的に店仕舞いしてしまう。そして町の原風景が失われているのです。

じゃあ、どんな木が選ばれているのか、気になりませんか?あなたのお家は何が使われているのでしょうか?

 

 

外国産木材がイイネ!

ぶっちゃけますね。
日本の木造住宅では、長らく、地域の木は選ばれず、外国産木材が選ばれていました。

外国産木材は外国で育ち、外国で製材されて、梱包されて、船便でコンテナに入ってやってきます。

どんな風に書かれているかの一例を書いておきますね。
WW/一等(ホワイトウッド)、RW/一等(レッドウッド)、米松KD(ベイマツKD)、ピーラー、米栂(ベイトガ)、ベイヒ、SPF(スプルースとパインとファーの混合材)、ウォールナット、オーク、レッドシーダー、等々

逆に国産材は
杉一等、桧一等、松、ケヤキ、クリ、ナラ、等々

結果を言うと、国産材は選ばれませんでした。これは業界にも悪い点はありました。

外国産木材が選ばれるだけのメリットがありました。良いところがあるんだったらいいですよね。それで山が荒れたって、自分たちの暮らしがより良いものになるんならOKですよね。

 

 

それでいいの?

安かったらいいよ、って方も居られると思います。
それも事実だろうなと感じます。

ただ、私は、『それでいい』とは全く思いません。

実際、私は木のことが好きな人だと自負しています。名刺入れだって腕時計だって木製を使ってますし、大好きなんですよ。

好きな木に外国産木材も国産木材も関係ないんですよ。
好きな木がそこにあるんですもん。それが何より一番なんです。
実際、名刺入れも腕時計も外国産木材です。知ってて選びました。壊れたって直してずっと使い続けています。
※素材はローズウッドやゼブラウッドです。

でも、みなさんは、自分たちの家の木がどこから来た木か知っていますか?そもそも、その木を選ばれましたか?勝手に選ばれていませんか?

愛着を持って、○○産の木を選んだのよ。この色味(木目)すごく良くない?って思えていますか?

『木と施主様に繋がりがない』事が何よりも嫌なんです。
これは問題じゃないかもしれません。
でもここに違和感を感じますって方が増えてほしい。
私の言葉が違和感に気づくきっかけになってほしい。そう思います。

 

子に伝える『この山の木で建てたんよ』

株式会社宮下のトップページにも社長の声として書いている言葉です。
私は、どこどこ産だから駄目、兵庫県に建てるから、兵庫県の木じゃないとだめって言いたくありません。

私は地域の製材所および工務店として、兵庫県に暮らす人(これから暮らそうという人)には兵庫県の木を山を好きになってほしいって思います。
県外から移住される方には、元々居られた地域の木や山、故郷の木や山、を好きになってほしいです。

それを知っていただくお手伝いができることを嬉しく思います。

工務店じゃ出来ないんです。全国規模ならともかく、地域でのつながりだけでは出来ないんです。製材所をしていると、全国、全世界の産地と繋がれる仕事ができます。それが製材所なんです。
木でたくさんの地域と繋がることができる、地元に対しても風景だけじゃなく、山の活性化に寄与することもできます。
逆に一般の方(施主様)には伝える機会が少ないんです。
そこで、工務店をしていることが活きるんです。施主様に直接お伝えできる、建築物という形にして伝えることができる。

製材所×工務店だから出来る仕事、めちゃめちゃ楽しくないですか?
だから辛くても、目指すべきものに向けて、専心することができるんです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
どうですか?子供が大きくなった時、伝えたくなってきませんか?

『この山の木で建てたんよ、うちの家、素敵やろ?またキャンプに来ような!』

そんな木が好きになりたい、木の家が建てたい方、ぜひお話しましょう。
山のこと、どれだけ素敵な人がいるのか、素敵な木が、兵庫県、日本、外国にあるのか、楽しくて深い世界が広がっているんです。あなたの好きな木を、想いを込めて選んでみませんか?
私は喜んで、お話させていただきたいと思っています。

株式会社宮下
浮村晋也

木の家

私達、株式会社宮下は神戸市北区の工務店兼設計事務所です。

兵庫県産木材を使った『木の家』を建てています。

母体には株式会社宮下木材という兵庫県加東市の製材所があります。

木をよく知っている会社が、これがいちばんええんや!っていう『木の家』をつくってるんです。

いうなれば、肉屋のコロッケが一番うまい!ってやつです。

みなさんも聞いたことがありませんか?

ですが、製材所が木の家を建てる事を決めた場合、製材所としての地域流通を諦めてしまうケースも多いんです。

実は、製材所は”儲からない業種”のひとつなんです。

株式会社宮下木材は製材所としての流通拠点であることを続けています。今も地域の木材流通のハブとして、丸太を角材にして、工務店・大工さんへ材料を供給し続けています。

それを私は誇らしく思います、それと同時に続けていく必要もあります。地域の原風景である製材所は失ってはいけないものだと思っているからです。

私達、株式会社宮下は、施主様はもちろん、販売店である工務店さんにも、木を使った住宅『木の家』の良さを発信しているんです。

この章で知ってほしいことは、『木の家』のことです。

木の家ってなんだろう?って私も考えてみました。

googleで、木の家を検索したら、たくさんの”木造住宅”がヒットしますよね。

2年前くらいは、あれ?木の家なのかな?って内観事例もありました。

この記事を書く時に見ましたら、今はだいぶ減ってますね!嬉しいです!

当時の写真では、床は木目調、壁はクロス、天井もクロス、枠も建具も木目調、ひどいものでは、どこにも木が無いじゃん!って内観写真もありました。

突板フローリングを無垢フローリングって嘘つくメーカーさんもありました。

※無垢とは素材を削っただけの状態を指します。

突板ならまだしもシートを木って言われるのはちょっと悲しいなぁと思った記憶があります。

これから家づくりをするみなさんへ

どんな木造住宅でも、上棟といわれる躯体が見えている状態、ここでは木がたくさん見えてるんです。

見えている木を見て、うわっ汚いなぁって感想が出る方はほぼ居ないんじゃないかなと思います。きれいな木だなぁって思う方が多いと思います。

(日本って木材に関してはそれなりにしっかりしてるんです。たくさんのクレーム処理をしてきましたので汗※使われ方はともかくとして。)

それで、さきほどの木目調の家では、そんなきれいな木を、きれいに隠してしまうんですよ。

もったいないと思いませんか?

せっかくなら、きれいな木をそのまま使いたいと思いませんか?

だから、私達は木を見せちゃっています!それを化粧柱や化粧梁、構造の表し等と言います。

※梁:横に架かる木、柱は梁を支える木です。

でもですね、これ、隠さなけりゃいいだけじゃん!手抜きじゃん!って思う方もいると思います。

実は、梁や柱の木を見せるって、きれいな木組みをしてないとへんてこな木組みを晒してしまうのでそれは全然かっこよくないんです!

これはかなり主観の意見なので、施主様のみなさんの感じ方次第なところはあると思います。

そんな木組みですが、私達は3度、木を組んでいきます。

1回目は、お客様のお話を伺って、プランを創る時です。ここで建築士の頭の中で木組みが出来上がります。実は棟あげちゃってます笑

ここで考えていることはかなり重要なんです。何も考えずに組むことと違い、見せたい梁や柱がプランにちゃんと現れてくるんです。

へんてこなことがなくなります。

2回目は、伏図といわれる図面を書いたときです。プレカット伏図や構造伏図と言われるものですね。ここでは、頭の中にあったものが、図面上に示されて組まれていきます。構造計算による根拠もしっかりついてきます!

たまに1回目の失敗を見つけてしまうこともあります。まだまだですねぇ汗

3回目は、実物件です。上棟ですね。ここをみなさんは良く良く見られていると思います。ここで失敗は許されません。

だから、宮下が建てる『木の家』は木組みがきれいなんです。そこにあるべくして、木があるから、いいんです。わけもわからず置かれているだけの梁にはどうも思考された重みが乗っていないなぁとそう感じずにはいられません。

木に無理をさせず、適寸適材適所で木を組み、構造計算も乗り越え、最後には大工の手で木が組まれていく。

そんな木の家をこれからも建てていきたいと思います。

これから木の家を考える未来のお施主様へ

あなたは木目調で木を隠したお家と木組みが考えられた家とどちらに住みたいですか?

ぜひ、『木の家』を良いなって思っていただけたら嬉しいです。

株式会社宮下
浮村晋也