屋根:瓦葺き・ガルバリウム鋼板(SGL)葺き

こんにちは、浮村晋也です。
本日は、屋根について、まとめていきます。

木の家づくりにおいて、屋根は住まい全体を守る大切な部分です。日差しや風雨から家を守り、快適な暮らしを支える上で、その耐久性安全性は非常に重要になります。特に、火災から家を守る「燃えない」という機能も、屋根材選びの大切なポイントです。

今回は、株式会社宮下も木の家で採用している、代表的な屋根材である瓦(かわら)葺きガルバリウム鋼板(SGL)葺きについて、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。どちらの屋根材も、それぞれの良さがあり、お客様の住まいへのこだわりやライフスタイルに合わせて最適な選択をしていただけるよう、比較しながら見ていきましょう。

瓦葺き屋根の魅力と特徴

古くから日本の住まいに用いられてきた瓦屋根は、その重厚感のある美しさと、優れた耐久性が魅力です。

瓦の耐久性

瓦は非常に耐久性に優れており、半永久的とも言われるほどの寿命を持つものもあります。陶器瓦やセメント瓦など種類はありますが、一般的に、焼き物である陶器瓦は色褪せや変質が少なく、メンテナンスを適切に行えば50年以上の耐用年数を期待できます。一枚一枚が独立しているため、万が一の破損時も部分的な補修が可能です。

瓦のデザイン性

瓦は、その形状や色によって多種多様な表情を住まいに与えます。和風建築に調和する「和瓦」はもちろん、洋風建築にも合うF形瓦S形瓦など、デザインのバリエーションが豊富です。色の選択肢も多く、落ち着いた色合いからモダンな印象を与える色まで、住まいの外観デザインに合わせて選ぶことができます。瓦独特の陰影が、家の外観に深みと立体感を与え、風格ある佇まいを演出します。

瓦のメンテナンス

瓦は、基本的にメンテナンスの手間が少ない屋根材です。表面に汚れがつきにくく、苔やカビの発生も比較的抑えられます。ただし、地震や強風などによる瓦のずれや割れがないか、定期的な点検は重要です。もし割れやずれが生じた場合は、部分的な差し替えや補修で対応できるため、全体を葺き替える必要がないケースも多く、長期的に見るとコストを抑えられる可能性があります。


ガルバリウム鋼板(SGL)葺き屋根の魅力と特徴

一般的になり認知度の高まっているガルバリウム鋼板の屋根。
株式会社宮下では、ガルバリウム鋼板の中でも、SGL(エスジーエル)と呼ばれる、より耐久性の高い素材を採用しています。

SGLの耐久性

SGLは、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%から成るガルバリウム鋼板にマグネシウムを添加することで、さらに耐食性を向上させた新しい鋼板です。一般的なガルバリウム鋼板よりも3倍の耐食性を持つと言われ、錆びにくく、塩害にも強いため、厳しい気候条件の地域でも安心してご使用いただけます。軽量であるため、地震の際の建物への負担も少なく、住宅全体の耐震性向上にも貢献します。耐用年数は、一般的なガルバリウム鋼板が25~35年程度とされるのに対し、SGLはそれを上回る30~40年が期待できます。

SGLのデザイン性:葺き方の違いで印象が変わる

ガルバリウム鋼板は、そのシャープでモダンな印象が特徴ですが、葺き方(屋根材の貼り方)によっても見た目や性能に違いが生まれます。

  • 立平葺き(たてひらぶき):屋根の傾斜に対して垂直方向に葺く方法です。縦のラインが強調され、シャープでスタイリッシュな印象を与えます。縦方向の水の流れがスムーズなため、勾配の緩やかな屋根にも適しており、雨漏りのリスクを低減できます。シンプルなデザインの家に良く合います。
  • 横葺き(よこぶき):屋根の傾斜に対して水平方向に葺く方法です。横のラインが強調され、重厚感と安定感のある印象になります。和風・洋風問わず様々なデザインに合わせやすく、瓦屋根に近い雰囲気を持つものもあります。

お客様の住まいの外観デザインや屋根の勾配、求める機能性に合わせて、最適な葺き方をご提案しています。

SGLのメンテナンス

SGLは、非常にメンテナンスが容易な屋根材です。表面が滑らかなため汚れがつきにくく、雨水で自然に洗い流されることも多いです。苔やカビの発生もほとんどなく、定期的な清掃も比較的簡単です。ただし、強風による飛来物や積雪などでへこみや傷がつく可能性はあります。大きな損傷がなければ部分的な補修で対応可能ですが、広範囲にわたる損傷の場合は葺き替えが必要になることもあります。定期的な点検で早期発見・早期対応を行うことが、長く美しく保つ秘訣です。


屋根の形状にも注目:寄棟と切妻、大屋根と下屋根

屋根の「形」も、家の外観デザインや機能性を大きく左右する要素です。一般的な屋根の形状をいくつかご紹介します。

  • 寄棟(よせむね)屋根:四方向すべてに傾斜があり、頂点から四方に屋根面が伸びる形状です。安定感があり、落ち着いた印象を与えます。どの方向からの風雨にも強く、耐久性に優れています。
  • 切妻(きりづま)屋根:二つの傾斜面が頂上で合わさる、最もシンプルで一般的な形状です。本の見開きのような形をしています。シンプルゆえにどんなデザインの家にも合わせやすく、コストも抑えやすい傾向があります。株式会社宮下の木の家でも、シンプルで美しい外観を実現するために切妻屋根を多く採用しています。

大屋根と下屋根

また、住宅の屋根には「大屋根(おおやね)」「下屋根(げやね)」という言葉があります。

  • 大屋根:建物の主要な部分を覆う、最も大きな屋根のことです。
  • 下屋根:大屋根の下に設けられる、一部が張り出した小さな屋根のことです。例えば、玄関ポーチの上や、一部の部屋が突出している部分などに設けられ、デザインのアクセントになったり、日差しや雨を防ぐ役割があります。

快適な室内環境を守る屋根の工夫:通気層と断熱

屋根は、住まいの耐久性だけでなく、室内の快適性にも大きく関わっています。

換気棟と屋根の通気層

屋根裏の湿気は、結露やカビの原因となり、建物の劣化を早める可能性があります。これを防ぐのが換気棟(かんきむね)と屋根の通気層です。

換気棟は、屋根の頂点に設けられる換気口のことで、屋根裏の熱気や湿気を外部に排出する役割があります。そして、屋根材と構造材の間に設けられた通気層は、外部の空気が流れ込むことで、屋根裏の結露を防ぎ、建物を長持ちさせるために非常に重要です。

  • 下屋根の雨押さえと換気雨押さえの必要性: 下屋根は、大屋根と違い、取り合い部分で雨漏りのリスクが高まる箇所です。特に、壁と屋根が接する部分には「雨押さえ(あまおさえ)」という板金部材を設置し、雨水の浸入を防ぎます。しかし、通常の雨押さえでは、この部分の通気を確保することが難しい場合があります。 そこで重要になるのが「換気雨押さえ」です。換気雨押さえは、雨水は防ぎつつも、屋根裏の湿気を排出するための通気経路を確保できる特殊な部材です。これにより、下屋根部分の屋根裏も適切に換気され、結露やカビの発生を防ぎ、住まいの耐久性を向上させます。細部にわたるこうした配慮が、長く安心して暮らせる家づくりには不可欠なのです。

セルロースファイバーによる高断熱効果

株式会社宮下では、屋根の断熱材として、基本仕様でセルロースファイバーを200mm厚で採用しています。セルロースファイバーは、新聞紙をリサイクルした木質繊維系の断熱材で、以下のような優れた特徴があります。

  • 高い断熱性能:熱の伝わりをしっかり防ぎ、夏は外からの熱の侵入を抑え、冬は室内の暖かさを逃がしません。これにより、冷暖房効率が向上し、省エネにも貢献します。
  • 優れた吸音性能:繊維が絡み合った構造が音を吸収するため、ガルバリウム鋼板の雨音も、厚いセルロースファイバー層によって室内まで響くのを大幅に軽減できます。雨の日でも静かで快適な住環境が保たれます。
  • 調湿性能:湿気を吸ったり吐いたりする性質があり、屋根裏の湿度を適切に保ちます。
  • 高温時の性能低下が少ない特性:一般的な断熱材の中には、夏季の屋根裏のように高温になると熱伝導率が上昇し、断熱性能が低下するものもあります。しかし、セルロースファイバーは、その蓄熱量の多さと、繊維間に含まれる空気の動きが少ないという特性から、高温時においても熱伝導率の性能低下が比較的少ないという利点があります。これにより、真夏の強い日差しが照りつける屋根裏でも、高い断熱性能を維持し、室内への熱の侵入を防ぐ効果があります。

このセルロースファイバーによる厚い断熱層(基本仕様200mm)と、屋根の通気層、そして換気棟・換気雨押さえの組み合わせによって、夏でも屋根からの熱の侵入を抑え、熱くなった空気を通気して、室内を涼しく保つことができます。
ガルバリウム鋼板の屋根でも、デメリットである雨音や暑さの心配をすることなく、一年中快適に過ごしていただけます。


屋根選びのポイント:耐久性、デザイン、安全性、そして快適性

瓦とSGL、どちらの屋根材もそれぞれ異なる魅力と特徴を持っています。

  • 耐久性:瓦は非常に長寿命ですが、SGLも耐食性が高く、長期的な耐久性を期待できます。どちらも「木の家」の耐久性を高める上で重要な役割を果たします。
  • デザイン:瓦は重厚感と和の趣、SGLはシャープでモダンな印象を与えます。SGLは葺き方によっても表情が変わります。お客様の思い描く家の外観に合わせてお選びいただけます。
  • 安全性:両者ともに、不燃材料としての性能が高く、万が一の火災の際にも燃え広がりにくく、安全性を確保できます。これは、大切な家族と家を守る上で、非常に重要な要素です。
  • 快適性:屋根の形状や、換気棟・通気層、そして基本仕様であるセルロースファイバーによる厚い断熱層は、室内の温度や湿度、音環境にも大きく影響し、一年を通して快適な暮らしを支えます。

株式会社宮下では、お客様の理想の住まいを実現するために、これらの屋根材や屋根の構造の特性を熟知したプロが、お客様のライフスタイルやご希望に合わせて最適な屋根材、そして屋根のプランをご提案いたします。

“屋根:瓦葺き・ガルバリウム鋼板(SGL)葺き” の続きを読む

防蟻:木部にホウ酸塗布+JOTO基礎断熱工法仕様

 

こんにちは、株式会社宮下の浮村晋也です。

今回は、皆様の大切な住まいを長く、そして安心して守るための重要なテーマ、「防蟻」についてお話ししたいと思います。
特に、従来の防蟻対策とは一線を画す、株式会社宮下が採用している「ボロンdeガード工法」と「JOTO基礎断熱工法」を組み合わせた、安心安全な防蟻対策と基礎断熱仕様についてご紹介します。

※床暖熱仕様も対応します。お気軽にご質問ください。

シロアリ被害、他人事ではありません
「うちは大丈夫だろう」と思われがちですが、シロアリは知らぬ間に住まいを蝕み、気付いた時には大きな被害となっているケースが少なくありません。木造住宅にとって、シロアリはまさに天敵。建物の耐久性を著しく低下させ、最悪の場合、大規模な修繕が必要になることもあります。

従来のシロアリ対策では、木材に合成殺虫剤を加圧注入したものが多く使われてきました。しかし、これらの薬剤は、空気中への影響による健康被害の可能性や、約5年で効果が弱まってしまうという問題点を抱えています。お子様やペットがいらっしゃるご家庭では、特に気になる点ではないでしょうか。また、せっかく対策をしても、数年で効果が薄れてしまうのでは、費用対効果の面でも疑問が残ります。

日本の住まいに潜む主要なシロアリと新たな脅威
日本には20種類以上のシロアリが生息していると言われますが、私たちの住まいに深刻な被害をもたらす主なシロアリは、大きく分けて2種類。それが「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。近年では、海外から侵入した「アメリカカンザイシロアリ」による被害も報告されており、その対策も重要になっています。それぞれの特性を知ることが、効果的な対策を考える第一歩となります。

※下記に調べた情報をまとめてみました。

◎ヤマトシロアリ
特徴と習性: 日本全国(北海道北部を除く)に広く生息し、最も一般的なシロアリです。湿った木材を好み、朽ちた木や家の床下など、湿気の多い場所でよく見られます。特定の大きな巣は作らず、木材を食べながらその中に巣を広げていく習性があります。被害の進行は比較的穏やかですが、放置すればもちろん深刻なダメージを与えます。羽アリは黒褐色で、4月から5月頃の昼間に飛び立つことが多いです。
被害箇所: 浴室や洗面所、台所の床下など、水回りの湿気の多い場所の被害が集中しやすい傾向にあります。

◎イエシロアリ
特徴と習性: 千葉県以西の比較的温暖な海岸線沿いの地域に多く生息します。ヤマトシロアリとは異なり、地中や木材の中に巨大な巣(本巣・分巣)を作り、そこを拠点に活動します。自ら水を運ぶ能力に優れているため、乾燥した木材でも加害し、被害範囲が広範囲に及ぶのが特徴です。繁殖力も非常に強く、被害の進行が早く、家屋全体に及ぶこともあります。羽アリは黄褐色で、6月から7月頃の夕方から夜に活発に飛び立ちます。
被害箇所: 基礎の内部から天井裏まで、建物のあらゆる場所を加害する可能性があります。その被害は激烈で、短期間に大きなダメージを与えることがあります。

◎アメリカカンザイシロアリ
特徴と習性: 外来種であり、近年、国内での被害報告が増えています。乾燥した木材でも生息できるのが最大の特徴で、床下だけでなく、柱や梁、家具の中など、建物のあらゆる場所から発生する可能性があります。水分の補給を必要としないため、水回りの近くでなくとも被害が発生する点が厄介です。巣が非常に小さく、被害箇所が発見しにくいのも特徴です。羽アリは、梅雨明けから秋頃にかけて発生することが多いです。
被害箇所: 乾燥した木材であればどこでも被害を及ぼす可能性があり、家具や美術品などにも被害が及ぶことがあります。

半永久的な効果が期待できる「ボロンdeガード工法」
そこで株式会社宮下が自信を持っておすすめするのが、”木部にホウ酸を塗布する「ボロンdeガード工法」”です。ホウ酸と聞くと、”ホウ酸団子(ゴキブリ対策)”をイメージするかもしれませんが、これは元素であるホウ素を元にした安全な水溶液です。

このホウ酸、実は私たち人間の体内にも微量に含まれている、とても身近な物質です。ですが、シロアリなどの昆虫は、ホウ酸を体内で分解・排出する機能を持っていません。そのため、ホウ酸を取り込むことで、シロアリの代謝系に作用し、エネルギー生成を阻害します。これは、ヤマトシロアリやイエシロアリはもちろん、アメリカカンザイシロアリに対しても有効なメカニズムです。そして何より、揮発性がなく、分解されないため、一度木材に塗布すると、半永久的に効果が持続するという画期的な特徴を持っています。

つまり、一度施工すれば、これまでの薬剤のように「5年ごとに再処理」といった心配がなく、ご家族の健康にも配慮した、安心で経済的なシロアリ対策が実現するのです。新築時だけでなく、リフォームや修繕時の防蟻対策としても採用可能ですので、シロアリ被害に遭われた方や、薬害に懸念をお持ちの方にも、ぜひご検討いただきたい工法です。

快適な室内環境とシロアリ対策を両立する「JOTO基礎断熱工法」
次に、住まいの快適性とシロアリ対策を両立させる「JOTO基礎断熱工法」についてご紹介します。

基礎断熱は、基礎の内側に断熱材を施すことで、冬場の床面の冷たさを軽減し、一年を通して室内の快適な温度を保つ効果があります。足元から来るひんやりとした冷気を防ぎ、暖かく過ごせるリビングは、ご家族の団らんをより豊かなものにしてくれるでしょう。

基礎断熱のデメリットとして、基礎内部にシロアリが侵入した場合に発見が遅れる可能性がある、という点が挙げられることがあります。しかし、ご安心ください。JOTO基礎断熱工法では、基礎の内断熱材に加えて、特殊な「土台パッキン」を組み合わせることで、この課題を解決しています。

この土台パッキンは、シロアリが登りにくいように設計されており、さらにシロアリ返しや断熱機能を付加した部材を使用しています。これにより、基礎内部へのシロアリの侵入経路を物理的に遮断し、万が一の侵入リスクを低減します。

株式会社宮下が提供する「安心」の保障と定期点検
「ボロンdeガード工法」と「JOTO基礎断熱工法」は、それぞれ単独でも高い効果を発揮しますが、組み合わせることで、より強固なシロアリ対策と快適な住環境を実現します。そして、何よりもお客様に安心していただくために、これらの工法にはシロアリ保障が付帯しています。万が一の事態にもしっかりと対応できる体制を整えていますので、どうぞご安心ください。

どんなに優れた対策を施しても、建物の状態を継続的に把握することは非常に重要です。そのため、定期点検による目視確認は欠かせません。株式会社宮下では、お客様に長く安心して住んでいただくために、定期点検も行っております。

私たちは、お客様の大切な住まいが、いつまでも安全で快適な場所であるために、最善の技術とサービスを提供することをお約束します。

まとめ
日本の主要なシロアリと新たな脅威:「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」、そして外来種の「アメリカカンザイシロアリ」。それぞれの特性を理解し、適切な対策をする。
ボロンdeガード工法:ホウ酸の力で半永久的な防蟻効果を実現。人やペットに安全で、健康被害のリスクを低減します。ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリのいずれにも有効です。新築、リフォーム、修繕にも対応。
JOTO基礎断熱工法:基礎内部からの冷気を防ぎ、足元から暖かい快適な室内環境を創出。特殊な土台パッキンでシロアリの侵入リスクを低減します。
どちらの工法もシロアリ保障付きで、お客様に安心をお届けします。

株式会社宮下では、施工後の定期点検も実施しております。お客様に安心して安全な暮らしをサポートしています。
新築やリノベーションをご検討中の方、既存の住まいのシロアリ対策にお悩みの方、そして何よりもご家族の健康と安心を第一に考える皆様に、ぜひ株式会社宮下の「ボロンdeガード工法+JOTO基礎断熱工法」をご検討いただければ幸いです。

ご質問やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

株式会社宮下
浮村晋也